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第一章 本書の想定
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目的
ペーパードライバーや初心者、あるいは運転がうまくできない者、運転が嫌いな者に、いきなり熟練者のお眼鏡にかなう運転を望むのは酷です。
本書は、一般のドライビングガイドとは異なります。目的は、そのような人がピンチヒッターで運転することになったとき、同乗者と車を、安全に、負担も少なく目的地まで運転し、駐車することです。彼らが単独で運転できるようになること、技術力を向上させることを期待するようなものではありません。与えられた環境のなかで、いかに周囲のサポートを得、目的を果たすか、またその目的が達成できる可能性をいかに上げるかについて説明しています。
特徴
本書は、彼らが突然その状況におかれてから読まれることを想定しています。特に事前に練習することなく運転を開始できるように案内します。不足している知識、経験、技術力は、同乗する運転歴のある同乗者、さらには他車の運転手のマナーに依存しようという他力本願の書でもあります。他人の命にもかかわることなので、より実力のある人に頼るのは正しい選択であると、筆者は考えます。
実行する直前に本書を一読してください。十分ほどで読み終えられることでしょう。この十分が、後のドライブの大きな手助けになるはずです。
例として、全体のプランの特徴と、車庫入れ時の特徴、その他の特徴を紹介します。
< プランの特徴 >
- 経験豊富な同乗者がおり、最大限のサポートを頼りにします。
- 縦列駐車はしません。
- 高速道路は走りません。
- 自宅以外での駐車も行いません。
< 車庫入れ時の特徴 >
- ハンドル操作とアクセル操作を同時には行いません。
- 可能な限り、微妙なハンドル操作は行いません。
- 自車の位置確認や、ミラーの確認を行いません。
- 車両感覚は不要です。
< その他の特徴 >
- 後方の確認は行いません(同乗者が行います)。
- 有料道路、駐車場での精算機寄付きも行いません。
いかがでしょうか?
運転への苦手意識が高いドライバーにとってプレッシャーだと思われる事項を軽減することで、本来の運転への集中度を高めることができます。「これならできるかも」と思ってもらえるのではないでしょうか。
利用方法
実行する直前に、まず運転手が、次に同乗者が読んでください。本書は、同乗者の実力を大いに活用する内容になっています。ですから、同乗者にも必ず読んでもらってください。同乗者の役割は非常に大きく、また特別に役割も設けているため、【同乗者の役割】として、別途記載しています。
運転手は、同乗者が読んでいる間に、後述する「ドライブ計画」をまとめておくとよいでしょう。
想定状況と確認事項
本書が想定する状況および確認事項は、次のとおりです。
登場人物
登場人物は、あなた(奥さん)と同乗者(旦那)です。
あなた:免許証取得後、ほとんど運転していないペーパードライバーです。運転が苦手。負けず嫌いの性格です。
同乗者:十分運転経験のある免許証所持者です。理屈っぽく、短気です。
役割
あなた:運転手
同乗者:可能な限りのサポート
目的
急な理由で、あなたがピンチヒッターとして運転をすることになりました。目的地(ゴール)まで無事にたどり着くことが目的です。
車種
オートマのコンパクトカー。カーナビ搭載。右ハンドル。
スタートとゴール
帰路途中の駐車場から、自宅の車庫までです。【距離入れてほしい】高速道路は本書では利用しません(理由は後述)。
ルートの決定
本書では高速道路は除外します。そのうえで、ルートはカーナビに100%に従います。同乗者の案内でもよいですが、本書ではトラブルの少ないカーナビを推奨します。
所要時間
四時間程度。同乗者が運転する場合とは比べ物にならないくらい余裕をみます。焦りは禁物です。時間的な理由で諦めるならこのタイミングで決断します。
健康状態
良好。良好とは一時間に一度のトイレタイム、休憩、適切な時間の食事が必要なこととします。
燃料
残量は四分の一程度とします(燃料補給が必要な量)。燃料の残量を確認しておきましょう。プランが変わってきます(第六章参照)。
その他の諸問題
運転手の技量の確認をします。たとえば、「後ろを見る余裕がない」「車線変更は苦手」「交通標識がうろ覚え」などです。
【同乗者の役割】
同乗者の役割は、運転手に可能な限りのサポートをすることにより、運転に集中させ、運転に自信をもたせ、安全を確保し、疲労度を少なくしてあげることです。
サポートの方法は、次章以降の内容に従ってください。同乗者は、自分の意見を加えず、読み上げるくらいのつもりでいてください。同乗者からの指示ではなく、文書化されたマニュアルに従っているだけ、ということで、運転手、同乗者間の微妙な緊張関係を和らげることができます。お互いが気持ちよく共同作業を行うことが、ミッションクリアのための重要事項になります。主役は同乗者ではありません。ルートはカーナビに任せます。カーナビは辛抱強く淡々と案内をしますが、同乗者は口うるさいうえに短気だからです。曲がるところを間違えたりすることは、よくあります。同乗者のナビで間違えが起きた場合、責任のなすりつけ合いになりやすく、次のルートを考えるのも大変です。カーナビに任せる、と決めておけば、お互いの精神的負担の軽減に役立ちます。
カーナビでコースを検索する際に、一般道だけではなく、料金優先や、距離優先など、複数の選択肢がある場合は、念のためすべて確認してください。そのうえで、ハンドルを切る回数が少ない道、歩行者や自転車などの少ない道など、安全な道を優先してあげましょう。不幸にして事故を起こしてしまったとしても、人身への重篤度や過失割合の少ないほうを選んであげることがポイントです。
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では、上記の想定で、実際にどのようなことに注意して運転すればよいか、第二章以降で解説していきましょう。