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3Dプリンター
ミカは刺せと言われれば喜んで幾らでも刺せる。そのことに抵抗どころか生きがいを感じるところだが、今回はあいにく邪魔が入った。
刺そうとしている相手がいきなり「刺せ」だの「待テ」だの言い合いが始まったのである。
どうやらおじいいちゃんの人生を奪ったF氏の息子らしい人物に乗り移ってしまったようなのであった。
……
さて、ここでちょっと話を中断しまして解説タイムに致します。
多分みなさま、どこかのおじいさんが、どこかのおじさんに乗り移っている設定だ、というのはお分かりだと思います。
そして「また、ありえもしない絵空事のくだらんSFだ」とお思いのことでしょう。
本作では、これ以外にも「いわゆる絵空事」が登場します。
それらが絵空事ではないことを証明していくのがストーリーとなります。
しかし、そうはいっても最後まで矛盾だらけなのがSF小説業界、本作もそう見られてしまいそうな気がしてまいりました。
そこで、
ここで、ちょっと未来に行って、この後おじいさんよりミカが聞かされることになる予定の、
「乗り移り」の部分をネタバレさせていただきます。
以下おじいさんいわく。
「ある日、突然人に乗り移ることができるようになったんじゃ。
暗黒館の後に気を失い、他人の体で目覚めるんじゃ。
最初は其奴の体を通してぼんやりと、朦朧とした意識の後、また暗黒感に陥り、そして自分の体で目を覚ますだけじゃった。
ところが、回数をこなすうちに、意識ははっきりし、長時間乗り移っていることもできるようになり、
今では思い通りにからだを動かすことも、このように自分の言葉でしゃべることもできるようになったんじゃ。
ところが、この乗り移りは瞬間移動かと思ったらそうではなく、ものすごく鈍間移動なんじゃ。
映るときも戻るときも、暗黒感に陥ってから目を覚ますまでに、えらい時間がかかるんじゃ。
短い時は数分で済むが、長い時は数日元の体は気を失ったままらしいのじゃ、乗り移り先もたぶん同様じゃろう。
気を失っている時間と記憶の内容が比例しているんじゃろう。
朦朧としているだけの時は数分…」
そこにまたまたF氏が割り込んできました。
「ツギハ3Dプリンターニノリウツッテミテクダサイ」
後日、この実験は成功するのであった。
この仮面がしゃべりだしたのです。
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