© 23世紀の進化論 All rights reserved.

背負わされた十字架:罪の宣告
ヒデオは話しすぎたことを後悔した。
気が付くとS・S氏は自分の体から居なくなっていたのだ。
テレポーテーションを実際に行える人物と直接話しをする機会を失ったのである。
再開できる確率は低いであろうことを、自分の研究の経験から知っている。
今頃彼は元の体に戻りはしたものの、昏睡状態のままであろう。
どのくらいの期間で覚醒するのかも聞けなかった。
どのような夢・イメージが展開されるのかも聞けなかった。
他に何を知っているのか。
聞きたいことだらけであった。
試したいことだらけであった。
がっくりと血の気の失せたヒデオ氏にミカは声をかけた・
「刺すの止めたげるから病院行きましょうか?」
「…… ああ、そうしようか血縁おばさん」
「なにそれ、おばさんとはひどいわ、さっきまでと大違いね」
「もうヨイショする必要はないでしょう」
「ますますひどいわね。
まあいいわ、病院行きましょ。
途中まで連れてくわ」
「いや、病院には行きません。
幸い出血も大したことないので致命傷ではないでしょう。
研究所に戻り手当をすれば大丈夫です。
では、さようなら」
「病院に行かないのなら、研究所まで付き添ってあげる。
さすがに顔色悪いもの」
「いや、顔色が悪いのは千載一遇の出会いを無駄にしてしまったからです。
もう二度と彼には会えないでしょうから。」
「あら、ワタシは2度めよ。
オジサンも又会えるのではないかしら」
「できることなら又お会いしたい。
お会いしてたくさん聞きたいことがあります。
そういえば、おばさんは預言ができると言っておられましたね。
私達は再開することができるでしょうか?
教えてください?」
その聞き方じゃあ予言と言うより占いだよ、とミカは思いつつしばらく思案した後で高らかな声で口上した。
「クリップと電子レンジとロボジーが見えます〜」
「おおおお、やはりそうだったのか
そして貴方は本物の預言者でしたのですね。
どのようなイメージがわいたのでしょうか?
どこまでお見えになったのでしょうか?」
全く態度がコロコロ変わるやつだなあと思いつつ、
ミカは改めておじいいちゃんのことを思い起こした。
思えばすべてがおじいちゃんの予言通りになっているではないですか。
キーワードの意味が分かる人が現れ、そして今正しくそのキーワードが伝わったようなのです。
そしておそらくそれは実現するということでしょう。
思いを馳せてる場合ではなくなにか答えなければいけないことに気がついて、
似非預言者はまたしても適当に、今度は歌うように応えた。
「タイムマシンにお願い〜アハハン」
「おおおおお〜やはりそうだったのですか〜」
これはヒデオにとって、「確信犯」ではなく「悪魔」になることを予告されたようなものであった。↓(ヒデオの脳内)
そして似非預言師も悪魔になった瞬間であった。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。