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懺悔

「やはりそうであったか」

多重人格障害(多重人格)はこんにちでは、解離性同一性障害と呼ばれ解離性障害の中で一番重い障害とされいる。
あくまで内的に自らの発した信号によりそのような障害を発症するということに落ち着いているのです。

解離性障害自体も、障害とは呼ばれない通常の対応が、恒常化したり、幼少期のストレスなどが時を経て発症した場合などに、医師が初めて解離性障害と呼ぶようになります。

このように多重人格はあくまで自己完結する「病気」と言うことで落着しています。

乗り移りや、生まれ変わりなどは、本人がどこかしらで仕入れたカンニングか、たまたま正解しただけで、自己完結という結論を脅かすものではないことになっているようです。

ヒデオは自身の研究や実験で不用意に結論づけることで真理を見失うことを常々危惧していた。

何かしらの現象の要因は一つとは限らず、全てを偏見を持たず平等に調査すべきであると。

比率が1%でも0.1%でもそれが事実であれば「それはまさしく真実」なのである。

自らの信念の元、今回のロボトミー患者の症例を調査でも、自己解決という一般通念だけでは説明できない症例に行き当たり、それらの症例を事実として仮説を立ててみることにした。

矛盾点の無い仮説を立てることはできたのだが、いくつかの点で反論を受けるだろうことは目に見えていた。
それらを論破するためには証明済みの事実か、実現できる見込みのある手順などが必要なのだが、まるで見当がつかず、困り果てていたところであった。

そこへ、今まさにくだんの現場に立ち会ったのである。

自己の内部からではなく外部から乗っ取りが行われたのである。
病気でも障害でもないことがここで証明された。

しかも、今回のテレポーテーションは片道切符ではなく往復である。
片道と往復で、その困難さは雲泥の差である

しかも彼は、予知ができるのか、最初からヒントを携えてである。
そして実験・検証に必要なキーワードまで。
要するにツールが必要だと言ってる。
ただしその使い方はいまいち想像がつかなかったが。

一方ミカは、一人考え込んでいるヒデオとは裏腹に、ご機嫌に口ずさんでいる。
『 EUREKA EUREKA EUREKA Big-bang ♫♪♩♬ 』※1

「そうですね。おかげさまでついに見つけました」

ミカは適当に歌っているだけだった。
こうして預言者は作られていく。

『ヘイヘイヘイ HeyHetHey 前頭葉Twist ♫♪♩♬ 』※2

ヒデオはハッとした
「そうやってテレポーテーションするんですね?

ミカさんは私の考えがすべてお見通しなんですね。

ミカさん。

ぜひ聞いてください」

「お、告白か?」

 

似ているが違った。

「カミさま

私達はこれから罪を犯します。

罪を犯す私達をお許し下さい。

私達は知ってしまったのです。

過去の忌々しい事件、不可思議な出来事、不幸な人生となってしまった人々、それらのうちいくつかはこれから私達の行う実験によってもたらされます。
あるいは私達の実験とは関係がないかもしれません。
あるいは私達の実験は、失敗し、その後を受け継いたチームがその罪を犯すのかも知れません。
しかし私達は、それらが成功することを願い実験を行います。罪はもう犯しているのです。

罪深い私達をお許し下さい。そしてこの罪深い行為が繰り返されないように私達をお守りください。」

「あのさぁ
私に告解したってしょうがないでしょ
だいたい私は血統書付きの殺人鬼なんだから。
私はミカさまよ。
それにカトリックじゃないでしょ?
懺悔じゃ救われないのよ。
それにこれから実験をおこなうのなら悔い改めてないじゃん。
許してほしけりゃ止めなさいよ。」

「いえいえ、今まさにミカさんにカミさまのお告げをいただきました。
それに登山が趣味なのです。
懺悔、懺悔、六根清浄」

どちらにしても正しい作法など知りやしません。

※1
サディスティック・ミカ・バンド『Big-Bang,Bang(愛的相対性理論)』
ビッグバンバンアイテキソウタイセイリロン
words by マツヤマタケシ
music by カトウカズヒコ
Performed by サディスティックミカバンド

※2
サディスティック・ミカ・バンド『Sadistic Twist』
サディスティックツイスト
words by オクダタミオキムラカエラ
music by オハラレイ
Performed by サディスティックミカバンド

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