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ロボジー
「ワシはあんたをまっとんたんじゃよ」
「あんたにあって伝えねばならぬことがあるのじゃ」
人を刺したというのに何も罪悪感は感じなかった。
そればかりか、刺された本人が刺されたことをまるで気にしていないことにも驚かなかった。
このままでは息絶えてしまうであろうのに無表情に話すこのオジサンも、それはどうでもよいことのようだ。
そういうことなのだろう。
ミカはおとなしく話を聞くことにした。
「まあ、立ち話も何なので座ってお話ください」
・・・
それから小一時間かけて聞いた話を要約するとこうだ。
まず、そもそもこの場所にはわざわざ刺されに来てるそうです。
なんでも、死にたくても寄ってたかって阻止されてしまい、死なせてくれないらしい。
で、刺されている人はしゃべっているオジサンとは別人で、この人は刺されるに値する奴なので気にしなくて良いとのこと。
この人は非人道的に沢山の人を殺したので、たくさん殺される運命だそうだ…
そして、こうして刺されているうちに「そいつ」が現れ、「そいつ」にあるメッセージを伝えることがこのオジサンの使命らしい。
そして、「そいつ」とはワタシのことらしい。
さらに、バッハだの、時空がだの、意味不明で要約すら出来ないことを延々と話し続けだしたので遮って聞いてみた。
「で、その使命って何?」
「クリップと電子レンジとロボトミー」
「それって、五十嵐紋次郎のでしょ?」
「・・・も一度いう、『クリップと電子レンジとロボトミー』。
意味不明だったとしてもいつかそれが必要になる時が来る。
あるいは、このメッセージを次の奴に伝えるのじゃ」
「次って?」
「次に刺す奴じゃ。」
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