バルサム切れしたレンズの成仏のさせ方
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バルサム切れしたレンズの成仏のさせ方
バルサム切れ
カメラのレンズの話です。
ここにたどり着く時点で何の話か分かっている人対象です。
そしてよこしまな考えの持ち主ではなく正しくレンズがかわいそうと思っている人向けです。
(決して再販などしない方が身のためです。)
一応説明しますと、バルサム切れとはレンズを張り合わせる接着剤としてカナダバルサムという天然樹脂が使われることがあり、そのバルサムが経年変化や温度差や衝撃、薬品その他の外部要因などで変化したり、接着力が弱まり張り合わせたレンズがはがれたりとかした状態の呼び名のことで、バルサム切れのほかバル切れ、バルサムはがれや単にバルサムで表し、「バルサムあり」とか「バルサムなし」とか言われたり、バルサム切れしたレンズを「バルサムレンズ」と呼んでみたりしています。レンズの表面的なカビや曇りと違い清掃したり研磨したりすれば治るというものではないので不治の病として恐れられていたりします。
今どきは合成樹脂でバルサム切れが起こらないとか、起きたら修理不可能とか言われていたりしますが、この言葉に意味はありません。何方にしてももはや捨てるだけです。何をしようが自分の勝手な領域です。
バルサム切れしたレンズは成仏させる
通常ならいくらでもあるこういった修理ネタですが、バルサム切れしたレンズの修理法に関してはいまいちキレが悪いように思います。
その原因は、いくら自責と念を押しても失敗例が続出するからではないでしょうか。
紹介した方法では、そもそも解決しないか、その方法の手加減など経験が必要で、成功率が確実に低いであろう読者に自信を持って進められないからではないでしょうか。
その結果、正しい情報を入手できるわけでもなく、自力でよいアイデアが浮かぶわけでもなく、気分は曇りに曇り、とうとう自身が「バルサム曇り」になってしまいます。
ということでグズグズせずにバルサム切れしたレンズに別れを告げるべく、とどめを刺そうというのがここの趣旨です。
バルサム切れしたレンズを、この方法で遊んでみましょう というページです。
そして遊び終わったら捨ててしまえ! というページです。
そして万が一うまくいけば自身で撮影した作品に味が出てくれるかもしれません。
プロローグ
まずは、状況確認から。
まずバルサム切れかどうかの確認します。これは他のサイトに任せて・・・
次にこのバルサム切れが撮影に影響があるか確認します。この方法も他のサイトに任せて・・・
バルサム切れがある時点でもはや自分の価値観は通用せず相場は二束三文です。
格安で手放すか自分で使うか、捨ててしまうかを判断します。
めでたく捨ててしまう決断できたら、 次の手順に進みます。
紹介する手順は二つです。
まずは無駄な投資を控える方法から。
いきなり道具をそろえるという魅惑は断ち切りましょう。
これから成仏させるバルサムレンズごときに余計な投資はしないぞ っと。
まずはこの方法で試してみて、うまくいきそうなら、それに見合った投資をしてみましょう、という手順です。
何かを買いそろえるにしても最小限の投資で済ませることが大切です。
そもそもバルサムレンズを一枚しか所有していない方の場合、思い立ってから1時間しないうちに引導を渡すことができバルサム呪縛からときはなされることができます。
オープントースター
まずはオープントースターを使います。
オープントースターもないという方は、適当に安価なものを見繕ってください。
用件は焼き具合が目視で確認できることです。(そして出来れば頑丈に越したことはありません)
作業に必要なものは次の者たちです。
- バルサムレンズ
- オープントースター
- オーブンミトン
- 雑巾
- ハンマー(失敗した時用)
この方法に適したバルサムレンズは肉眼で普通に見てバルサム切れした箇所が特定できるほど変色しているレンズです。このレンズが適している理由はバルサム切れがさらに進んだ時の上体が想像・目視しやすいからです。そうでないレンズは今回の手順での適切なタイミングというものが掴みづらいかもしれないからです。
オーブントースターの代わりに電子レンジで代用できるかどうかは不明です。家庭のレンジと相談してください。
ガスコンロはきっと適していないと思います。
ミトンの代わりに箸とかスプーンいうのは勧めません(落とすし)。
また通常のキッチンミトンの耐熱温度は通常200度前後なのでどうせ購入するなら500度とかの高温まで耐えられるものがおすすめです。
この時点で冷凍庫とか熱湯とか氷とかハンマーとかではないということです。特にハンマーはなるべく避けるべきだと思います。というのは失敗して割ってしまう率が高いからです(程度が判らないし)。
用具がそろったら、手順は次の通り
- 対象のレンズをオープントースターの中に入れる
注意点は外から対象箇所とレンズ全体が見渡せるように置きましょう。
見にくい場合はアルミホイルなどで置き方を調整しましょう。 - トーストします。
とりあえず500wで3分ぐらいにセットします。 - 様子を見ます
- ちょうどよく焼きあがったら取り出してニギニギします。
- はがれなかったら再びトーストから繰り返します。
はがれたら終了して雑巾の上に置きます。
この方法がうまくいったら、次はレンズにこびりついたバルサムをはがし、再び張り合わせます。
はがし方や張り合わせ方は後述します。
今のところ成功率は100%です。
ただし、もともと張り合わせでないとか、コバ処理やコーティングの都合で継続できないとかの理由で中止したものはあります。、
うまくいかなかったら潔く、新聞紙にくるんでから雑巾でもくるんで、ハンマーでたたき割ります。
たたき割って、なぜうまくいかなかったかの原因を探ります。探って次に生かしましょう。
ヒートガン
上級になると専門工具を使います。
といっても、オープントースターの代わりにヒートガンと段ボールの箱を使うだけです。
やり方は大体同じようなものです(省略)。
こちらの方が温度管理がしやすいかもしれません。
このやり方は、バルサム切れのほかに、ねじ止めではなく接着剤や圧入などによる組み込みレンズ?でも外すことができるかもしれないでしょう。 というかお勧めです。
この場合最初は横に穴を開けずに内部の空気の膨張で外せるか試します。
横に穴を開ける、あるいは開いていた場合は熱によって接着成分を溶かす感じとなり、外部からの衝撃が必要になります、
この場合はヒートガンからの送風でレンズが動いてくれると均等な加熱や適当な衝撃という点で一石二鳥です。
バルサムはがしと接着
バルサムのはがし方は、ここにたどり着いた方々はすでに自分なりの方法を身に着けていると思うので触れません。
中性洗剤で落ちれば話が簡単でよいです。
接着はUV接着剤がおすすめです。
UV接着は屋外はNGなのはもちろんですが低い精度だとサイズが変わってしまい組み込み時に入らないなど元に戻せません。失敗すると取り返し付かないので十分確認してからUVします。
当方が購入したのはこのセットです。
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2018年1月 追記しました
カナダバルサムを入手する
つい最近までは、オンラインでのカナダバルサムを入手出来るのはここに限られていたと思います。⇒ 武井薬局
ヤフーでも購入できることを確認しました。
価格は高いが画像つき?
こちらが適正価格
カナダバルサムとは
参考までに簡単な情報を記載しておきます。
主な特性は、先の武井薬局に詳しく記載されています。 武井薬局のカナダバルサムのページ 安全データシート
溶剤的には、水はもちろん、エタノールにも溶けにくいとあります。ふき取りに無水エタノールは適していないということになります。
適しているのはアルキルベンゼン(トルエン・キシレン)とあります。 アルキルベンゼンとは
主に塗料などの溶剤として使われているようですが、該当する液体をお持ちの方は良いのですが、よくわからない場合は、手持ちのシンナーなどで試してみたほうが早そうです。
ためしに、「キシレン」で検索した結果に当方の購入した「Gボンド薄め液」があったのでラッキーと思ったのですが、よく読むと、
「トルエン キシレンは使用しておりません」とのこと・・・、有害物質として有名なようで・・・
ですが観方を変えるとこういう表現にもなるようです。
トルエン.キシレンは疎水性試料に適し.水溶液などの極性試料には小適である。
トルエンは早くから使用されてきた溶媒であるが,最近は高純度キシレンの入手が容易となり. (!)計数効率が高い. 2 毒性が少ない. 3 蒸気圧が低い. 4 引火点が高いなど.優れた特性を有するキシレンが使われている
実際にはトルエン、キシレンなどの体に害のある液体を含まないシンナーでも問題なく溶ける可能性もありますので、やはり手持ちの安全なシンナー類で試してみる必要性を感じます。
作業時には対象物を85度程度に温める必要がありますが、合わせてバルサム自体も湯煎というか熱燗状態にしておくと作業が格段にやりやすくなります。
常温のばあい水あめのような感じです。
そして作業ですが、手袋(グローブ)が必須なのですが、軍手式の耐熱グローブはその船員がレンズ内に入る可能性が大なので注意が必要です。
薄いテフロン製などでは暑くて作業できない場合は、耐熱グローブの上にテフロンのグローブという手もあります。
そして温度管理はやはりヒートガンがお勧めですが、なるべく埃が舞い込まないような工夫も必要です。
ヒートガンの空気取り入れ繰りにフィルターを当てるとか、ヒートガン自体を冷やす扇風機が必要とか、やはり素人が日曜大工的に行うと色々とうまくいきません。
要するに一発で仕上げようと思わないで、数回のテストも必要だし、出来栄えが芳しくない場合は何回でもやり直す気構えが必要です。
そして実際にやってみると気がつくのですが、バルサム自体の厚さが問題になってきます。
やはり、いわゆるキシレンを入手し、適度の希釈が必要だとの結論に至ります。
で、当方は、いわゆるキシレンの入手に成功していないので、満足できるレベルの修復には達していません。
成仏のさせ方
肝心の、バルサム切れしたレンズの成仏のさせ方 を書き忘れていました。
ひとしきり遊んだところでめでたく成仏させる訳ですが、「折角なのでとどめを刺そう」というのは賢い選択です。
下手に保存しておくと、よこしまな考えをしてしまうに決まっているからです。
依然は、新聞紙にくるんだり、プチプチの封筒に入れて、ハンマーでカチ割っていたのですが、これがなかなかうまくいきません。
痛い目ならぬ痛い手にあいます。
で、最近購入したのがオートポンチ、超お勧めです。
破片も飛び散らず、一撃で簡単に割ることができます。
ビニール袋に入れて小さめの段ボール箱とかの中に入れ、ぽちっとするだけで玉砕します。
後はもう一度ビニール袋に入れ、後は指定のごみ出し方法で。
オートポンチも安物は先端のチップがすぐに摩耗・変形したり、操作に力が必要だったりと、やはりいろいろなので信用あるメーカーかレビューなどを参考にするのが良いと思います。
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バルサム切れとは直接関係ありませんがフィルター枠の歪みの修復用ツールの良品をゲットしたので紹介します。
今まで使用していたツールとは雲泥の使いやすさと仕上がりの良さでした。
フィルター枠がゆがんだ(=落下させた)カメラ・レンズなどもはや使えない=そんなツールいらない!
とは限りません。
フィルターが固着して取れにくくなっている時にもお勧めです。
プラスチックのクリップレンチに比べると雲泥の差です。
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